歯周病とは、歯と歯茎の間にから入った細菌(歯垢・歯石等)が、歯肉に炎症を引き起こし、さらに歯肉の中にある歯槽骨(歯を支えている骨)を溶かしてしまう、これが歯周病(歯槽膿漏)という歯ぐきの病気です。
歯槽膿漏を含む歯ぐきの病気は、世界で一番広まっており、世界人口の約70%が何らかの歯ぐきの病気に侵されています。
さらに約9億人の人々が深刻な歯槽膿漏に悩まされています。
簡単な歯周病のチェックです。
あなたはいくつ当てはまりますか?
口の中には約700種類の細菌が住んでいますが、口の中を清潔に保っていればこの細菌は特に害を及ぼすことはありません。
しかし、ブラッシングが十分でなかったり、磨き残しがあると、細菌がネバネバとした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。
この塊は歯垢(プラーク)と呼ばれ、粘着性が強く、うがい程度では落ちません。
歯垢(プラーク)1mgの中には10億個の細菌が住みついており、これが虫歯や歯周病の原因となります。
歯周病は全身の病気との関連が指摘されています
歯周病の影響はお口の中だけに留まりません。
歯周病菌によって炎症を起こし出血や膿を出している歯周ポケット(歯の根と歯ぐきの隙間)は、口腔全体で中等度以上の場合、そのポケット表面積の合計が手の平と同程度になります。
手の平サイズの出血や膿が放置されていれば、当然、全身の健康から見ても無関係とは言えないということを実感していただけると思います。
それらの歯周病菌は血流などに乗って全身を巡り、糖尿病/動脈硬化/心筋梗塞/脳梗塞/早産/肺炎などを引き起こす原因にもなりえます。
また、歯周病に限らず、歯をすべて失ってしまった方は抑うつになるリスクが高いとも言われています。
そのように、歯科疾患を軽く考えることはとても危険ですが、お口のケアやメンテナンをしっかりと行っていれば予防することもできます。
全身の健康を守るためにも、お口の健康状態の維持に取り組みましょう。
歯周病はこんな全身の病気に影響を及ぼします
1.糖尿病
2.早産・低体重児出産
3.動脈硬化・心臓疾患
4.誤嚥性肺炎
●セルフケア
●クリニックケア
歯周病の治療は症状の程度によって異なります。
重症になるほど治療に時間がかかりますので、日頃からの予防がとても重要です。
●軽度歯周病(歯肉炎・歯周炎)の場合・・・スケーリング
歯周病の原因となる細菌を含んだ歯垢(プラーク)は石灰化することで歯石になり、通常の歯みがきでは除去できなくなってしまいます。
そのようになってしまうと、スケーラーと言う専用の器具を用いて歯や根元に付着した歯垢や歯石をきれいにしていく「スケーリング(歯石取り)」を行う必要があります。
スケーリングはお口のクリーニングだけでなく、歯周病の発生・悪化を予防する効果もあります。
●中等度歯周病(歯周炎)の場合・・・ルートプレーニング
中度まで進行してしまった歯周病は、直接目で見て確認できない歯の根(ルート)にまで歯垢や歯石が付着しています。
スケーリングだけでは歯の根の汚れまで除去しきれないので、歯垢や歯石、歯周病菌に感染した歯質なども除去する、特殊な器具を用いた「ルートプレーニング」という治療をあわせて行っていきます。
ルートプレーニングをすると歯や歯の根の表面もツルツルになるので、歯垢や歯石などの再付着の予防にも繋がります。
●重度歯周病(歯周炎)の場合・・・歯周外科治療
スケーリングやルートプレーニングだけでは追いつかないほど進行してしまった歯周病には、歯周外科治療を行います。
歯周外科治療には歯周病により溶けてしまった骨や歯肉の回復をしたり、歯周ポケットの深部まで及んだ歯垢や歯石を取り除くために歯ぐきを切開したりなど、様々な目的があります。